1時限目 コース徹底分析


約2年もの間、雌伏の時を過ごした新潟競馬場がようやく翼を広げた
単なる改装ではなくコースから施設まで、全てに手を入れた完全リニューアルだ!
平坦右回りだったかつての面影はなくなり、左回りの広々としたコースへ
そしてなんと言っても注目は直線だけで争われる電撃の5ハロン戦!
内から外から一斉にゴール板めがけて突き進んでくる様は大迫力なこと請け合い
毎日いちど、果敢なスペクタクルが見られる魅惑の夏開催
そんな“NEO”新潟競馬場を大きく4つのポイントに分けて分析してみよう


1000mの直線コースは騎手の技量が試される!
 内、外ラチの外を木々が覆い、緑のなかから遥か遠くに見えるスタンド。ゴール板なんてまったく視界に入らない。まるで日本の競馬場とは思えない光景。これが直線1000mのスタート地点から見たときの眺め。
 当然、日本で初の直線コース。以前、新潟競馬場がリニューアルされる、との記事が紙面を賑わせたとき、そのとき唯一日本人ジョッキーで騎乗経験のある柴崎騎手(現調教師)が、
「迫力のある競馬を提供できると思うよ」
とコメントしていたのを思い出す。
 しかし、実際コースを見ると、どんな迫力のあるレースが行なわれるのか、とにかく見てみたいと思う。それは全く見当がつかないからである。
 大きな注目は、ほとんどのジョッキーが、直線レース初体験となること。何度かやってみないと関係者も特徴が掴めないはずだ。
 それに、ずーっと直線ということは、ジョッキーの腕が試されることになる。直線なのだから、真っ直ぐ走らせないと即審議もしくは降着、失格ということになりかねない。パトロールタワーの真正面を走るのだから、ゴマカシが利かない。
 また、コーナーで減速を余儀なくされる分、コーナーのなくなる直線1000mでは、勝ち時計が速くなる。今までの1000mの日本レコードは新潟(改修前)の55秒9。仮にコーナーで1秒のロスがあるとすると、54秒台の時計は期待できる。
 ちなみに、アルゼンチンでは1000m53秒0というタイムがあり、それより早ければギネスに申請するらしい。
外回りコースは1周2223m!
 新生新潟競馬場の馬場に出た。パッと見て、
「普通のJRAのローカル競馬場か」
 と感じたが、馬場を歩くうち、それは大きな誤りだったことに気がついた。
 とにかく大きいのである。それを痛感したのが、ゴール板から直線1000mのスタート地点を目指して歩いているとき。内回りの4コーナー出口には400mのハロン棒、外回りの3、4コーナー中間あたりには800mの標識が立っている。
 これが新潟第2の目玉である「1周2223m(外回り)」のコース。トレーニングセンターも含めても、日本最大のコースなのだから、スゴくて当然。
 これまでは東京競馬場の直線が一番長かったが、新生新潟競馬場がそれを更新した。外回りの直線は659mほどあるという。
 通常のローカル競馬場であれば、小回りコースだから、早ければ3コーナー入口から仕掛けて行って、一気にペースが上がる。それも大外を回るコースロスも忘れて、いい位置を得ようとする。
 が、これだけ大きな競馬場だと、それが当て嵌まらない。ある程度まではジックリと構えて、直線に入ってからでも先行馬を捉えられるとなると、東京と似たレースが多くなる可能性が大。となると、より差し馬に有利になるような気がする。
 しかし、私のイメージからすると、旧新潟の内回りは差し、外回りは先行馬が有利だった印象がある。外回りでは直線が長い分、いつでも差せる、の差し馬の騎手心理も働くだろう。
 そして、直線レースにも言えることだが、直線の起伏はほとんどない。前有利のレースとなる可能性は大だ。
 直線の長短にかかわらず言えることでもあるが、どれだけ馬を動かせるか、も、ひとつの焦点となる。直線の長い外回りならば、より追えるジョッキーに有利となる。そんな騎手の技量も問われるだろう。
ダートコースも迫力満点、さてその砂質は?
 1周1472m。芝コースは日本一の大きさだが、ダートコースは他の競馬場と比べても、特に大きいわけではない。
 JRA以外にも公営競馬場ではほとんどがダートレース。参考にその公営の砂質を探ってみた。
 だいたい大まかに分けて4種類がある。海砂を使っているのが、北海道の競馬場、船橋、園田などで、一番よく使われている砂。山砂は盛岡、水沢、川崎、益田。川砂は浦和、笠松、門別、名古屋、上山など。変わったところでは佐賀は海砂に川砂を少し混ぜていたり、荒尾は海砂でも洗砂を使用している。
 今で3種類と例外を紹介したが、最後は湖砂。レイクサンドを使用しているのが、大井、もうひとつは旧新潟競馬場。
 見た目も以前と変わりがなさそうだし、直線1000mを見るときに外ラチに山積みにされていた砂を触ってみたが、海砂のようにサラッとはしていなかった。割と重そうな砂質であった。レイクサンドがどんなものかは分からないが、多分、同じものを使用していると思われる。
 これは私の勝手な思い込みであるのだが、札幌、函館のダートは砂が深いイメージがあった。ので、JRAの方にそのあたりを聞いてみたところ、
「別に意識的に深くしていることはありません」
 とのこと。だから砂質によって重そう、軽くて時計が早そう、というのもあるだろう。
 芝コースのところで前述したが、新潟は路盤が硬い。当然、ダートコースの下も硬いわけで、以前の新潟と同じように、時計の出やすいダートコースになるだろう。
 また、コースはそれほど大きくなくても、スパイラルコーナーが導入されているので、スピードを落とすことなくコーナーを曲がることができるので、差し、追い込み馬も追走、追い上げが楽になるのではないだろうか。これもダートレースの迫力ある競走を見せてもらえそうである。
ゴール前にそびえ立つ新スタンドなど、変更点は?
 直線1000mの新設、1周2223m(外回り)と2大呼び物が話題となっている新潟競馬場。もうひとつの目玉が、Nils21(ニルス21)なる新スタンド。
 このNilsは、
NIigata Long Straight
 の略。
 まだ、私が行ったときにはスタンド等は細かい最終作業の段階で見ることはできなかったが、Nils21は、地下1階地上6階の大きなスタンドで、総席数も合計2761席が用意されている。
 また、距離も芝は1000mから3200mまで、計14(内、外回り別も含む)のレースパターン、ダートは1000mから1800mまでの計4パターンのレースができるようになったのも、全面改修した賜物。迫力ある数多くのレースを見せてくれるはずだ。
 そのほかの変更点。当然触れなければならないのは、右回りから左回りになったこと。東京、中京に続き3場目の左回りコース。
 また、芝は夏に強い野芝を使用。今のJRAの馬場であれば、洋芝とか洋芝に野芝を混ぜて、という芝コースになるが、新潟は基本的に夏場の開催が中心となるので、野芝を採用した。冬に行くことはないと思うが、一面黄土色の芝を見ることができる。とても懐かしいなぁ。
 だけれども、変わっていないところもある。それは内馬場にある木。松の木だとは思うが、さすがにあれだけは取り除くことはできなかったのだろう。
 これだけの競馬場だから、大レースもやってもらいたいと思って、新潟競馬場の方に話を聞いたとき、
「夏場の開催が基本ですから、厳しいでしょう。東京競馬場が工事中のときぐらいじゃないですか」
 と語っていた。東京競馬場全面改修の予定もあり、もしかすると近々G1も開催される可能性もある。